RUDE GALLERY

RUDE MAGAZINE

Rude Dialogue〈前編〉

Rude Dialogue〈前編〉

今年で25周年となるRUDE GALLERY。Spring & Summer 2025 “QUE SERA SERA”の撮影後、1冊目のルックブック(2002年)の写真を手掛けたフォトグラファーのアミタマリ氏をルード事務所へお招きし、片柳との対談というかたちでこの25年の話をお聞きしました。

やっぱり、写真がやりたかった。

――アミタさんがルード初のルックブックを撮影されたのが、およそ25年前。その時代はどんな感じでしたか?

アミタ 正確には25年前じゃなくて、2002年。
片柳 その頃はまだモデルもやってたの?
アミタ モデルはもうやってなかった。18歳、大学1年から始めて25歳まで、7年かな。10年同じ仕事続けようと思ってたんだけど、7年で限界でしたね。限界っていうか……やっぱり写真がやりたくて。それで野村(浩司)さんのところでアシスタントに。
片柳 アシスタントは何年やってたの?
アミタ 3年です。最初の、使い物にならないただのパシリから数えて、3年。正確に言うと、24歳の半年間ぐらいはモデルは辞めてなかったんです。アシスタントとして手伝ってたんじゃなくて、本当にバイク便みたいな感じで……。雑用バイトで雇ってもらったというか、やりたいって言って。実際人が居なくて困ってたので、野村さんところが。最初は写真を学ぶために入ったんじゃなくて、モデルのかたわら空いてる時間で野村さんのところで雑用バイトする。で、半年くらいやっていくうちに、写真の世界に興味がどんどん湧いていって。

——あの頃、写真はまだフィルムですよね。全部バイク便使ったりですよね?

アミタ そうそうそう! 本当に! 届けるものがすごくいっぱいあって。今データで送っているものっていうのが、全部。現像所に出す、ベタ届ける、プリント届ける……あとはフイルムとか買いに行ったりとか、とにかく1日何軒も回ってたな、都内をバイクで。RUDE GALLERYの1冊目のやつは、もちろんフィルム時代のもので、プリントしたやつ。
片柳 封筒で来てたよね。
アミタ そうそう、封筒。またベタをセレクトするのが楽しかったですよね……。迷うんだけどね。片柳さんも、かなり手探りだったんじゃないですか?
片柳 いやあ、もう初めて! だってやったことないもん、こんなこと。洋服屋は20歳からやってたけど、古着屋だから。こういう世界から入ってないから。
アミタ 古着なんですか、元々? それ知らなかった!
片柳 古着屋ですよ。アメリカ行って、古着買って、売って……それを10年ぐらいやったの。
アミタ そうなんですね。当時はほんと、そういう時代ですもんね。
片柳 で、段々もうブームが去って、売れなくなってきて、どうしようかなって……。少し新品物を仕入れてやってたんだけど、自分のところのオリジナルも少し出してって。プリントして、Tシャツつくったり。その延長でこうなっていくんだね。

——RUDE GALLERYのはじまりですね。

アミタ ここ(事務所)の1階で、(川村)カオリちゃんとか照井さんとかとね。
片柳 それが30歳ぐらいのとき。そのときに初めて、こういう洋服をつくるのを勉強しながらセレクトショップを始めた……っていうかんじ。だからこんなのすぐできると思ってないけど、環境がさ、雑誌で特集してくれたり、すぐしてくれたじゃん、野村さんが写真を撮ってくれてね。……ああいうのを見て、自分たちもやらなくちゃなと思って。セレクトショップのくせにオリジナルで出すっていう。
アミタ なるほどねー!
片柳 野村さんのスタジオでよく撮影をしていて。編集の人たちが来てね……そういう現場に憧れてたんだよね、俺は。
アミタ 野村さんが撮って、片柳さんがすごく喜んでくれてたのは、よく憶えてますね。……まあそしたら、これ(ルックブック)ですよ。1発目のルードのカタログを私にお願いしてくれて。
片柳 そうだね、デビューしたばかり?
アミタ まだデビュー1年目。
片柳 すごい! 自分のデビュー作は何か覚えてる?
アミタ 憶えてます、『GB』っていう音楽雑誌でSOBUT。デビューした日に『GB』の編集長がブック見せてって連絡をくれて。もうドキドキしながら……。で写真見せて、まず1発目SOBUTで!みたいな。MOTOAKIは知ってたから……。

——ちょっとやりやすかった?

アミタ やりやすかったですね。助けられた、あんな刺青だらけの人たちに……。(笑) でも、緊張したなあ。ロケで、当時のコロムビアの古いビルの駐車場で撮影して。そう、なんか……嬉しかったけど、むちゃくちゃ緊張したな。
片柳 ファッションの撮影はあまりやってなかったの?
アミタ いや、やってたやってた。やっぱりそういうルードギャラリーへの流れというか……。ルードも、このカタログやる前に多分雑誌で撮ったりしてるんじゃないかな……。
片柳 そうだね、雑誌もやったね。何かあるとアミタにお願いするっていうのは……何だろうね、ここぞという時にアミタの刀を抜く、みたいな。スペシャル感があるんだよね、この人は昔から。「軽くちょっと撮ってよ」というのはできない。今もできない。
アミタ そういうの逆にください(笑)。
片柳 したくないなあ(笑)。
アミタ 周年のタイミングで頼まれることは確かに多いかもね。10周年とか20周年とか、ルードもそうだし。
片柳 そういう風に思っている人多いんじゃないかな、アミタを。みんなが大事にしてくれてて。ちゃんと結果がついてくるから。やっぱり写真てパワーあるんだなって、あらためて。やっぱり違うな、って。
アミタ 嬉しいです。うーん……距離感が大事なのかな?

自分の中の「これ」っていう感覚。

――フィルムのセッティングやライティングなど、デジタルの時代になっても、アナログを知ってる、知らないというのは違いますか?

アミタ 全然違うと思う。それが両方知ってるのがいいとか、それはもう本当にその時代によっても違うし……。なんだけど、私はやっぱり(フィルムを)知ってて良かったなって思うし、どっちがいい悪いは関係ないけど、フィルムを経験してる、してないは差があると思う。それが良さでもあり、アダとなる場合もあるから……正解とは言えないけど。デジタルしか知らない世代の方は、もっと写真や映像のビジュアルをつくることに対してものすごい自由。でも、私はそういう感覚を持てないです、良くも悪くも。だからすっごい羨ましいなって思ったりもするけど……。私はデジタルで仕事してても、未だに調整する時にどうしてもフイルムの現像の、あのトーンで、みたいな……そういう感覚でつくってる。自分の中のベースはやっぱりフィルムなので、そこを大きくはみ出ることはあんまりできない、っていうのはある。でも、自分の中に全くない感覚を入れたって、何かやっぱり嘘っぽいので。

――フィットしない感じ、違和感?

アミタ そう、違和感。もちろん仕事でそういうのを求められる時はあるけど、でも自分の中でこれっていう感覚の中で落とし込みたいっていう方が説得力があるじゃないですか。
片柳 説得力がある。そうなのね、それだね。すごいしっくりきたわ。アミタがやると説得されている感じがする。
アミタ たくさん撮ったって変わらないんですよ。どんどん集中力が切れていくし、撮れた時点で終わりたい、私は。それだけ撮影してる時にRemiも、私もすごいエネルギーが高い中でやってたりするので。そんな素晴らしい瞬間って多くないし、ただ沢山撮っていればいいってものでもないし……。ワーッ!て感動が記憶に残るような……そういうのが撮れた時点で、これ以上撮れないっていう。そういうものはやっぱり撮りたいから、いつも。緊張とか、集中する感じとか。
片柳 そういうのって伝わるよね、写真から背景が……。なんなんだろうね……。人の力って強いなと。

好きなものって、変わらない。

――お二人とも、ぶれない哲学があり、自分の中の芯が通っているというのをお話から感じます。

片柳 いつも同じ話してんなあ、と?(笑) よく言われるけど、ぶれているんだけど……いつもいろんなことを考えて、それになんとか対応しながら生きているから……今もできているのかなあ。
アミタ やっぱり、根っこの好きなものって、たいして変わらないよねっていう。それを捨てる人もいるだろうし、色々あると思うんだけど。片柳さんや私は、その好きなものがエネルギーというか、ガソリンだから。
片柳 それが音楽であったり、映画であったり。もちろん写真であったり、服だったりね。
アミタ 憧れる感じっていうのが、思い出すとこれが好きでやってるんだな!みたいな。
片柳 そういう人達と一緒につくれたよね、あのルックブックでね。混ぜてもらったっていうか。(笑) それに、すごく昔につくったっていう感覚はないなあ。
アミタ 自分の中での古びた感覚は全くない……今回、同じ(モデルの)Remiで撮影したじゃないですか。25年の時の流れをめちゃくちゃ感じるというか、Remi、カッコよかったし……もう何にしろ、当時と同じメンバーで作れてるっていうのが本当に簡単なことじゃないんだなって。
片柳 みんなそれぞれ、そのままの仕事で。それをやり続けてられてる。
アミタ 続けてて本当に良かったなていう……、もうちょっと、これはすごいことですよね。かなりじんとくる感じでしたよね。25年続ける難しさというか、こうやってみんなで祝えて良かったね、みたいな。で、同じ構図で復刻したボーリングシャツの後ろ姿撮って。
片柳 変わんねーじゃん、元のでいいじゃん!って。(一同爆笑) 幸せな時間だったよね。あの場にいるみんなが。

RUDE BOOK Dialogue〈後編〉へ続く(Coming soon...)

Photography by アミタマリ

アミタマリ/Mari Amita
1973年生まれ、山口県出身。専修大学文学部卒。モデルを経て写真家・野村浩司氏に師事、2001年に独立。2003年・宝島社の新聞広告で朝日広告賞グランプリを受賞。数多くのミュージシャンのCDジャケットやポートレートを手掛けるほか、広告、カルチャー、ファッションを中心に活躍中。
Website: amitamari.com
Instagram: @mari_amita

写真(左)が今回、(右)は2002年当時に撮影したもの。並べてみても同じですごいですね……。
左からアミタさん、モデルのRemiさん、RUDE GALLERY片柳。

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